その眠たそうな空気が好きだ

冬が好きになったのは確か3年前の冬のある日のことだった。それは本当に突然のことで、それまでは冬なんて大嫌いだった。実は好きだったことに気が付いたと言うよりは、その辺りを境に嫌いが好きにひっくり返ったような感じだった。
今でも寒いのは好きではないけれど、だからと言って冬まで嫌いになってしまうのはなんだかもったいない話だと思う。
ぼくは会社からの帰り地下鉄2駅分を歩いているのだけど、冬の凛とした澄んだ空気がサラサラと頬を伝っていく感覚はとても心地が良い。
帰り道の途中で図書館の脇を通るのだけどその時に図書館から漏れてくる光がなんだかとても暖かそうで図書館の中ではみんながゆっくり歩いていてそれを見るといつもなんだか楽しくなって笑顔になる。
外の冷たく澄んだ空気が好きだ。室内の暖かそうな眠たそうな空気が好きだ。その対比も好きだ。